スリランカの童話です。
今からおよそ1800年前のスリランカの都アヌラーダプラでのことです。
当時スリランカはタンバパンという名で呼ばれていました。
アヌラーダプラの王宮 では、ヤサラーラカ ティッサという王様が全国を統一し、支配していました。
王様はいつでも笑って日々を過ごしました。王様は遊ぶのが大好きでしたが、王座につく人は一族の人とも自由に会うことも仲良くすることも許されていません。
しかし、この王様は王座を守りながらできるだけ遊ぶことにしていました。
王宮には護衛をしているたくさんの家来がいました。その中に王様そっくりの一人の家来がいました。
彼はスパといい、王様と仲良くしていつも遊んでいました。
王様はだれよりもスパと親しくなっていました。
王様はある日、いい遊び方を考えました。
「スパよ、お前は私の王服を着て王座にすわりなさい。」
スパは、こんな遊びをするとは夢にも思わなかったのでびっくりして断るにも断れずに我慢しました。
王様にそっくりなスパは言われたとおり王服に着がえて王座に座り、そして王様は衛兵のスパの服にきがえて見張っていました。
王様は、全国の大臣や家来の人達がスパの前に行って足元に礼拝するのを見て笑うのが、何よりも楽しかったのです。
王服を着て王座に座っていたスパは慣れて緊張感もなく、自分の役を良く演じました。王様も全く信じきって、このように毎日遊んでいました。
いつの日かスパは欲望が生まれ、遊び相手を殺して王位を奪おうと考えました。
ある日、王様が以前のようにスパに王服を着せて、自分はスパの兵服にきがえて見張っていました。
緊張しきって王宮に入った国会の大臣がスパの前に行って足元へ礼拝し、わきに座りました。それをみていた衛兵の姿の王様が笑い出しました。
その時、王座に座っていた衛兵のスパは
「なぜお前が笑うのか、すみやかに死刑にせよ。」と命じました。
その場にいた護衛たちは本当の王様を刑場に連れて行き、刀で首をはねてしまいました。
その後スパはアヌラーダプラ王朝を六年間治めました。