
クリソベリル/ Chrysoberyl
和名:金緑石
結晶系:斜方晶系
産出形状:柱状結晶・双晶・三連晶・小石状
カラー:黄色・帯黄緑色・緑色・褐色
透明度:透明~半透明~不透明、シルク
光沢:ガラス光沢
モース硬度:8.5
断口:貝殻状
比重:3.7
偏光性:複屈折性
複屈折量 : 0.009
多色性:強い三色性(個体差あり)
分光性:アイアンバンド
産地:ブラジル、インド、スリランカ、マダガスカル等
クリソベリルは斜方晶系に属する鉱物ですが、2つの結晶が並んで『V字双晶』を作ったり、『CyclicTwin(交差三連双晶)』と呼ばれる星や花のような形や外形が六角形のそろばんのような結晶の形で産出します。
色や質感は産地にもよりますが、透明感のあるものからシルキーなもあり、結晶面にはっきりと成長線が現れているものもあります。

欠けているようにみえる箇所もよくみるととても小さなクリソベリル結晶の形に成長していることが多く、小さくても見応えのある結晶が多いです。


『V字双晶』
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『CyclicTwin(交差三連双晶』(3連輪座双晶)

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外形が六角板状に見え、外周の稜が屋根型になっているものもあります。
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殆どの宝石が結晶から成りますが、大半が長年の風化で結晶の形を失った状態で発見される為、結晶の形の残ったままの原石はとても稀少です。
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自然の風化で丸くなったクリソベリル結晶(SriLanka)
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結晶の形の残っていないクリソベリル、クリソベリルキャッツアイ原石(SriLanka)
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クリソベリルは主にペグマタイトと接触変成鉱床に産する比較的稀な鉱物で、ロシアやスリランカ、ミャンマー、ブラジル、ジンバブエ、タンザニア、マダガスカル、中国と世界各地で産出しますが、結晶の形の残った宝石質のクリソベリル結晶となると産地は限られ、ブラジル、スリランカ、タンザニア、マダガスカルが主な産地です。
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クリソベリルの産地のひとつ、マダガスカルでの宝石産出は16世紀半ばには既に知られており、17世紀半ばにはトパーズ、アクアマリン、ルビー、サファイア、エメラルドの産出が報告されています。本格的な宝石の採掘が始まったのは19世紀末からで、20世紀初頭には年平均300kg程、多い年には1トンを超える原石の産出が記録されています。
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現在のマダガスカルの宝石採掘現場 / 2018年
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マダガスカルでのクリソベリルの産出は、1920年頃には報告されていましたが、
結晶はその後の1990年代半ば頃、首都Antananarivo付近のペグマタイト地帯からの宝石質のクリソベリル結晶がはじめての発見でした。
殆どが交差三連双晶で大きいものでは直径5cmほどあり、最大では10cmに達する美しい結晶でしたが、この鉱床はたちまち枯渇してしまい、今では数少ない標本が世界の博物館や個人のコレクションとして残されているのみとなっているようです。
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Houseki Dealer のホームページでは、スリランカの宝石カッターが、マダガスカルに原石の買い付けに行った際に手に入れることが出来たクリソベリル結晶をご紹介させて頂いております。
クリソベリル結晶は、現地で色々な原石結晶を目にする機会の多い宝石商やカッター達ですらもほとんど出会うことがないほど稀少な存在です。
見つけても鉱物標本として非売品の場合が多く、なかなか手に入れにくい逸品ですのでこの機会に是非お手元で楽しんで頂けたらと思います。
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参考HP
http://www.nihongo.com/aaa/jewelry/stone/cats-eye/Chrysoberyl.html